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前回の「基本の基本」では、カメラの基本的な仕組みと、写真の明るさを決める重要な3つの要素「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」があることを学びました。
今回は、その写真の明るさ、つまり「露出(ろしゅつ)」について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。露出は、写真表現の基礎中の基礎であり、これを理解することであなたの写真は劇的に変わります。
目次
1. 露出とは何か?
改めて、露出とは「写真の明るさ」のことです。カメラはレンズを通して光を取り込み、その光の量によって写真の明るさを決定します。
- 露出が適正:被写体や状況に合った、自然な明るさの写真。
- 露出オーバー:光を取り込みすぎた状態。写真全体が白っぽく、明るくなりすぎる。白飛び(明るすぎてディテールが失われること)の原因にもなります。
- 露出アンダー:光を取り込む量が足りない状態。写真全体が暗く、黒っぽくなりすぎる。黒つぶれ(暗すぎてディテールが失われること)の原因にもなります。
目指すのは「適正露出」ですが、これは常に同じ明るさということではありません。表現したいイメージによっては、あえて露出オーバーやアンダーにすることで、ドラマチックな雰囲気を作り出すこともあります。
2. 露出を決める「光の3要素」を詳しく理解しよう
前回の記事でも触れた通り、露出は以下の3つの要素の組み合わせで決まります。
- 絞り(F値)
- シャッタースピード
- ISO感度
これらの要素は独立しているわけではなく、互いに影響し合って最終的な露出が決まります。まるでシーソーゲームのように、どれか一つを調整すると、他の要素もそれに合わせて調整が必要になる、と考えると分かりやすいでしょう。
2-1. 絞り(F値)の役割
絞りとは、レンズの中にある羽のような部品で、開いたり閉じたりすることで、レンズを通る光の量を調整するものです。数値は「F値(エフち)」として表されます。
- F値を小さくする(絞りを開く):レンズに入る光の量が多くなる。
- 写真が明るくなる。
- ピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなり、背景が大きくボケる。
- 例:F1.4, F2.8, F4
- F値を大きくする(絞りを絞る):レンズに入る光の量が少なくなる。
- 写真が暗くなる。
- ピントが合う範囲(被写界深度)が広くなり、手前から奥まで全体にピントが合う。
- 例:F8, F11, F16
【写真挿入指示1】 F値を小さくして背景が大きくボケた写真(ポートレートや花など、被写体以外の背景が大きくボケている作例)と、F値を大きくして手前から奥まで全体にピントが合っている写真(風景写真など、全体的にシャープに写っている作例)を並べて掲載してください。それぞれの写真の下に「F〇〇(小さいF値)」「F〇〇(大きいF値)」と記載し、どちらが背景がよくボケているか、どちらが手前から奥までピントが合っているか、簡単な説明文を添えてください。
2-2. シャッタースピードの役割
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間の長さのことです。この時間が長いほど光を多く取り込み、短いほど取り込む光の量が少なくなります。単位は「秒」で表されますが、通常は「1/〇〇秒」といった分数で表示されます。
- シャッタースピードを速くする(例:1/1000秒, 1/500秒):シャッターが開いている時間が短い。
- 写真が暗くなる。
- 動きの速い被写体をブレずに静止した状態で写せる(動きを止める)。
- 手ブレも起きにくくなる。
- シャッタースピードを遅くする(例:1/30秒, 1/4秒, 1秒):シャッターが開いている時間が長い。
- 写真が明るくなる。
- 動いている被写体がブレて写る(動きを表現する)。
- 手ブレが起きやすくなる。三脚が必要になることも。
【写真挿入指示2】 シャッタースピードを速くして水しぶきが止まって見える写真や、動きの速い動物が静止して見える写真(動きを止めた作例)と、シャッタースピードを遅くして滝の流れが絹のように滑らかに写っている写真、光の軌跡が写っている写真(動きを表現した作例)を並べて掲載してください。それぞれの写真の下に「1/〇〇秒(速いシャッタースピード)」「〇秒(遅いシャッタースピード)」と記載し、どちらが動きを止めて、どちらが動きを表現しているか、簡単な説明文を添えてください。
2-3. ISO感度の役割
ISO感度とは、カメラのイメージセンサーが光を感じ取る「感度」を表す数値です。この数値を高くするほど、暗い場所でも少ない光で明るい写真を撮ることができます。
- ISO感度を低くする(例:ISO100, ISO200):感度が低い。
- より多くの光が必要になるため、明るい場所での撮影に適している。
- 画質がクリアでノイズ(ざらつき)が少ない。
- ISO感度を高くする(例:ISO800, ISO1600, ISO6400):感度が高い。
- 少ない光でも明るい写真が撮れるため、暗い場所や手持ちでの夜景撮影などに有効。
- 画質にノイズ(ざらつき)が出やすくなる。
【写真挿入指示3】 ISO感度を低くして(例:ISO100)ノイズが少なくクリアに写っている写真と、ISO感度を高くして(例:ISO6400など、高感度設定がわかるように)暗い場所で撮影されたがノイズが目立つ写真(ざらつきがある作例)を並べて掲載してください。それぞれの写真の下に「ISO〇〇(低いISO感度)」「ISO〇〇(高いISO感度)」と記載し、ノイズの有無と明るさの違いについて簡単な説明文を添えてください。
3. 露出のバランスを理解する
絞り、シャッタースピード、ISO感度は、それぞれ単独で機能するのではなく、常に連携し合って最終的な露出を決定します。
例えば、暗い場所で明るい写真を撮りたい場合を考えてみましょう。
- 絞りを開く(F値を小さくする):より多くの光を取り込む。同時に背景がボケやすくなる。
- シャッタースピードを遅くする:より長い時間光を取り込む。同時に手ブレや被写体ブレのリスクが高まる。
- ISO感度を高くする:センサーが光に敏感になる。同時にノイズが増えるリスクが高まる。
これら3つの要素を、表現したい写真のイメージや撮影状況に合わせてバランスよく調整することが、露出をコントロールするということです。
露出は「正解」を一つに決めつけるものではない
カメラは、基本的に「適正露出」となるように自動で設定をアシストしてくれます(オートモードやPモードなど)。しかし、それが常にあなたのイメージ通りの写真になるとは限りません。
例えば、雪景色を撮る場合、カメラは雪の白さを「適正な明るさ」と判断して少し暗めに写してしまうことがあります。すると、実際に見た雪の白く輝く印象とは違う、グレーがかった写真になってしまうことがあります。
そんな時に「もう少し明るくしたいな」と思ったら、次回解説する「露出補正」を使って、自分のイメージに近づけることができるのです。
まとめ:露出を理解して、表現の幅を広げよう
今回は「露出」という、写真の明るさの概念と、それを構成する「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つの要素について詳しく解説しました。
- 露出:写真の明るさのこと。適正、オーバー、アンダーがある。
- 絞り(F値):光の量とボケ具合をコントロール。
- シャッタースピード:光を取り込む時間と被写体の動きをコントロール。
- ISO感度:センサーの光に対する感度と画質(ノイズ)をコントロール。
これらの要素は互いに影響し合い、それぞれの調整が写真の表現に大きな影響を与えます。すぐに全てをマスターするのは難しいかもしれませんが、それぞれの要素が写真にどう影響するかを意識しながら撮影を続けてみてください。
次回は、今回学んだ露出を、自分のイメージ通りに調整するための強力なツール「露出補正」について解説します。