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「プロが撮ったような、背景がとろけるようにボケた写真が撮りたい!」
カメラを始めた方の多くが、まず憧れるのがこの「背景ボケ」ではないでしょうか。この美しいボケ味を生み出す鍵こそが、今回解説する「絞り(しぼり)」です。
前回の「露出」の記事で、絞りは写真の明るさを決める3要素のうちの一つだと学びました。しかし、絞りの役割はそれだけではありません。むしろ、写真の表現をコントロールする上で、非常に重要な役割を担っています。
絞りを理解すれば、あなたの写真は単なる「記録」から「作品」へと大きくステップアップします。
目次
1. 絞り(F値)とは?
絞りとは、レンズの内部にある光の通り道の大きさを調整するための、何枚かの羽で構成された機構のことです。
人間の眼で例えるなら、**「瞳孔(どうこう)」**の役割と全く同じです。 私たちは、明るい場所では瞳孔が小さく(絞られ)なり、暗い場所では大きく(開かれ)なって、眼に入る光の量を自動で調整していますよね。カメラの絞りも、これと同じ原理でレンズを通過する光の量をコントロールしているのです。
そして、この絞りの開き具合を示す数値のことを**「F値(エフち)」**と呼びます。カメラの液晶モニターやファインダーには「F2.8」「F8」のように表示されます。
2. 絞りの2つの重要な役割
絞りには、写真に影響を与える2つの大きな役割があります。この2つを理解することが、絞りをマスターするための第一歩です。
役割①:光の量をコントロールする(写真の明るさが変わる)
これは「露出」の回でも触れた、基本的な役割です。
- F値を小さくする(絞りを開く) 光の通り道が広くなるため、たくさんの光を取り込めます。 → 写真は明るくなる
- F値を大きくする(絞りを絞る) 光の通り道が狭くなるため、取り込める光の量が少なくなります。 → 写真は暗くなる
ここで初心者が混乱しやすいのが、**「F値の数字が小さいほど、絞りは開いて明るくなる」**という、数字の大小と実際の効果が逆転している点です。
【覚え方のコツ】
- F値が小さい(F1.8など)= 開放的 → 光がたくさん入る → 明るい
- F値が大きい(F16など)= 窮屈 → 光が少ししか入らない → 暗い
このようにイメージと結びつけて覚えてみてください。
役割②:ピントの合う範囲をコントロールする(ボケ味が変わる)
こちらが、絞りが持つもう一つの非常に重要な役割です。絞りは、ピントが合って見える範囲、専門用語で**「被写界深度(ひしゃかいしんど)」**をコントロールする力を持っています。
- F値を小さくする(絞りを開く) ピントが合う範囲(被写界深度)が浅くなります。 → ピントを合わせた部分だけがシャープに写り、その前後は大きくボケる。(いわゆる「背景がボケた写真」)
- F値を大きくする(絞りを絞る) ピントが合う範囲(被写界深度)が深くなります。 → 手前から奥まで、広い範囲にピントが合った写真になる。
【写真挿入指示】 同じ被写体(例えば、人物の上半身やテーブルの上の花瓶など)を、F値を変えて撮影した比較写真を2枚並べて掲載してください。
- F値を小さくして撮影した写真(例:F1.8やF2.8など、そのレンズで一番小さいF値)
- F値を大きくして撮影した写真(例:F8やF11)
それぞれの写真の下に「絞り優先モード F1.8で撮影」「絞り優先モード F11で撮影」といったキャプションを付け、「F値を小さくすると背景が大きくボケ、F値を大きくすると背景までくっきり写ることがわかります」というような説明文を添えてください。
3. 絞りを使いこなすには?「絞り優先モード」が最強の味方
「明るさもボケも変わるなんて、どうやって設定すればいいの?」 そんな時に絶大な効果を発揮するのが、撮影モードダイヤルにある**「A」または「Av」(絞り優先オート)**モードです。
このモードは、あなたが**「F値(ボケ具合)」を決めさえすれば、カメラがそれに合わせて最適な「シャッタースピード(明るさ)」を自動で計算してくれる**という、非常に賢く便利なモードです。
- 背景をぼかしたい! → AモードでF値を一番小さい数字に設定する。
- 風景全体をくっきり写したい! → AモードでF値をF8やF11に設定する。
たったこれだけの操作で、あなたの意図が写真に反映されるようになります。まずはこの「絞り優先モード」で、F値を変えると写真のボケ味がどう変わるかを、色々な被写体で試してみてください。
まとめ:絞りを制する者は、表現を制する
今回は、写真の表現に欠かせない「絞り(F値)」について解説しました。
- 絞りとは、レンズを通る光の量を調整する仕組み。その度合いをF値で表す。
- F値を小さくすると → 明るくなり、背景は大きくボケる。
- F値を大きくすると → 暗くなり、背景までくっきり写る。
- 練習には**「絞り優先モード(AまたはAv)」**を使うのがおすすめ。
絞りは、写真の明るさを調整する要素であると同時に、どこに視線を集め、何を主題にするかという表現を決定づける強力なツールです。
「この花を主役にしたいから背景をぼかそう」「この壮大な景色を全部見せたいから隅々までピントを合わせよう」 そんな風に、撮影意図を持ってF値を設定できるようになれば、あなたの写真は飛躍的にレベルアップします。